- なぜ、今「一勝九敗」を読むべきなのか?
- 柳井正という人間──“挫折→焦燥→行動”で動き出した男
- 実践哲学①:失敗は“次の成功の材料”にする
- 良い失敗 vs 悪い失敗
- 実践哲学②:異業種の常識を持ち込む
- 「声をかけない服屋」という革命
- 異業種人材は宝
- 実践哲学③:まずは小さく勝負する
- 実践哲学④:会いたい人には直接会いに行く
- ジョルダーノ創業者に直談判
- 東レとの直接交渉
- 実践哲学⑤:非常識な目標を掲げる
- 実践哲学⑥:常識破壊が市場を動かす──フリース大ヒット
- ただの値下げではありません
- 実践哲学⑦:成功はゴミ箱へ捨てる
- まとめ──失敗は回避するものではなく、素材である
- あなたは今、何回目の挑戦ですか?
- この本を読むべき人
- 関連書籍(読み順におすすめ)
なぜ、今「一勝九敗」を読むべきなのか?
年商3兆円超・世界2,400店舗以上を展開するユニクロ。
その創業者・柳井正は、日本の経営者の中でもトップクラスの成功者として語られます。
しかし彼自身が語る勝率は、「一勝九敗」。
「10回挑戦したら9回は失敗する。それでいい。」
多くの成功者は成功体験を語りますが、柳井は失敗の話しかしていません。
しかも本書が出版されたのは、ユニクロがフリース大ヒットで頂点に立った直後。
絶頂期に、あえて失敗を公開した本なのです。
「失敗は恥ではない。
失敗から学ばないことこそ恥だ。」
副業を始めたい人、キャリアを変えたい人、夢を追う人。
“一発逆転”ではなく、“失敗→修正→再挑戦”で伸びる人のための本です。
柳井正という人間──“挫折→焦燥→行動”で動き出した男
柳井は学生時代から「起業を志した天才」ではありませんでした。
- 大学卒業後、就職活動ゼロで父の知人の会社へ
- 仕事にやりがいを感じられず9ヶ月で退職
- 半年間、友人宅に居候し、自分だけ取り残されていく焦り
「向いていない」「やりたいことがない」
この状態で彼は動きます。
他者は働いている。自分だけが止まっている。
この現実が、彼を父の紳士服店へ向かわせました。
そしてここから、一勝九敗の挑戦が始まります。
実践哲学①:失敗は“次の成功の材料”にする
柳井は「失敗数=行動量」と考えます。
失敗を避ける人は、そもそも成功の可能性ある土俵に立っていない。
良い失敗 vs 悪い失敗
✓ 良い失敗
原因が明確で、次に活かせるもの。
✗ 悪い失敗
なぜ失敗したか分からず、改善ができないもの。
「痛い目を見なければ、学びは生まれない。」
従業員5人が辞めた“初期の大失敗”
経営を任されてすぐ、柳井は効率の悪さをストレートに指摘。
結果、従業員6人中5人が退職。
痛烈な失敗ですが、原因は明確です。
方法は正しくても、伝え方が悪ければ組織は壊れる。
“良い失敗”は次に活きます。
“悪い失敗”は同じミスを繰り返すだけです。
致命傷になる失敗は避ける
スクウェアのFF映画のような一撃で倒産する失敗は絶対にしてはいけません。
失敗は許される。
ただし“死なない失敗”であること。
副業・起業をするすべての人の基本原則です。
実践哲学②:異業種の常識を持ち込む
ユニクロ最大の価値は「服屋の常識を破壊した」ことです。
「声をかけない服屋」という革命
当時のアパレル店は接客が基本。
しかし柳井はアメリカの文房具店で**“セルフサービスの快適さ”**に衝撃を受けます。
本屋やCDショップのように、自由に入って自由に出られる服屋。
これが「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」、のちの「ユニクロ」の原点です。
異業種人材は宝
ユニクロは敢えて服飾の専門家に依存せず、
- メーカー出身
- SE
- サービス業
多様な人材を歓迎しました。
なぜなら、他業種の常識は“業界の盲点”だから。
Apple、セブンイレブン、マクドナルド。
いずれも別の業界の成功モデルを輸入し、置き換えた企業です。
アイデアは0からではなく、組み合わせから生まれる。
実践哲学③:まずは小さく勝負する
ユニクロ1号店は広島市の裏通りに作られました。
理由はシンプル。
- 家賃が安い
- 目立たず実験できる
- リスクが低い
SNSも口コミも弱い時代。
手配りチラシやラジオ広告で宣伝し、入場制限が出るほどの大成功。
この小さな成功が2号店・3号店へつながり、加速度的な拡大へ。
最初の一歩は“最大”でなくていい。
失敗しても立て直せる規模が最適。
起業も副業も同じです。
無料で始める→反応を見る→改善するが最短ルート。
実践哲学④:会いたい人には直接会いに行く
柳井は「待つ人」ではありません。
会いたいと思ったら会いに行く人です。
ジョルダーノ創業者に直談判
当時の日本では卸仕入れの低品質服を売るしかない。
柳井はこの構造に限界を感じ、海外でSPA(製造小売)を成功させた人物に直接会います。
「あの人にできるなら、俺にもできる。」
ここからユニクロは、数年に及ぶ試行錯誤を経て製造〜販売を一貫管理するSPAモデルに移行します。
東レとの直接交渉
フリース成功の裏には、柳井と東レ技術者の会話があります。
「もっと安く、もっと良い素材を作れないか?」
トップ同士の“直接の会話”が、世界的ヒットの火種になりました。
実践哲学⑤:非常識な目標を掲げる
柳井は言います。
「今の3倍の目標を設定せよ。」
年収400万円→450万円は延長線上。
400万円→1200万円は“思考の破壊”です。
- 副業
- 転職
- 起業
- 資産形成
- AI活用
- 他業界の研究
行動そのものが根本から変わります。
ユニクロも同じでした。
- 1号店成功→「100店舗」を宣言
- 国内成功→「世界一のカジュアルブランド」を目指す
当時は狂気の目標。
しかし、この“非常識”が組織のアクセルを踏ませたのです。
実践哲学⑥:常識破壊が市場を動かす──フリース大ヒット
フリースは元々1万円以上する高級素材。
ユニクロはこれを1,900円に落としました。
ただの値下げではありません
- 東レと素材開発
- インドネシアで糸製造
- 中国で縫製
- 販売も自社
完全な垂直統合により、価格と品質の両立を実現。
さらに51色展開という異常な提案。
「黒・紺・グレー」しか選べなかった服の世界が一変しました。
年間2,600万枚を売る大ヒット。
ユニクロ=ダサい
⬇︎
ユニクロ=安くていい
この認識を国民規模で塗り替えた商品です。
実践哲学⑦:成功はゴミ箱へ捨てる
フリース成功後、ユニクロは一時的に失速しました。
- 在庫の山
- 品質の低下
- 新商品が作れない
原因は明確。
「成功に酔って、改善を止めた。」
商売は**“うまくいかない時に本気で考える”**もの。
成功した瞬間に衰退が始まる。
ユニクロはすぐに改革へ。
- ヒートテック開発
- 世界展開加速
- EC強化
- サステナビリティ導入
過去の成功にしがみつかなかったことが、企業を次のステージへ押し上げた。
まとめ──失敗は回避するものではなく、素材である
柳井哲学は極めてシンプルです。
- 10回挑戦して9回失敗していい。
- 失敗は原因を特定し、次に活かす。
- 異業種の常識を取り入れる。
- 小さく試し、大きく学ぶ。
- 憧れの人に直接会う。
- 非常識な目標で行動を変える。
- 常識破壊の商品が市場を動かす。
- スピードを最優先にする。
- 成功した瞬間に次の挑戦を始める。
成長は「挑戦→失敗→改善→再挑戦」のループでしか生まれない。
あなたは今、何回目の挑戦ですか?
もし失敗したのなら、大丈夫。
あと9回失敗する余地がある。
柳井正も、9ヶ月で会社を辞め、友人宅に居候した人間です。
それでも挑戦し続け、世界企業を作りました。
完璧でなくていい。失敗のたびに立ち上がればいい。
この本を読むべき人
- 副業や起業が怖い人
- 仕事で成果が出ず悩んでいる人
- 失敗がトラウマになっている人
- 伸び悩んでいる人
- 「もう一度挑戦したい」と思っている人
『一勝九敗』は、その背中を押してくれる一冊です。
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